- 投資における心理的バイアスとは?
- 心理的バイアスが投資にどういう影響を与えるのか?
- 心理的バイアスを克服するためには?
この記事では上記のような疑問にお答えします。
投資において合理的な判断や計画が欠かせないというのは誰もが理解していることではあります。
しかし、実際に投資判断をするときには事前に考えていた計画通りにはいかず、合理的とは言えない判断をしてしまうことも多いのではないでしょうか。
こういった意思決定に影響を及ぼす作用の一つとして心理的バイアスというものがあります。
たとえば、損失を恐れるあまり冒険を避けたり、自分の信じることに固執したりすることなどです。
この記事では、投資における心理的バイアスの影響と、それを克服する方法について紹介します。
具体的なアプローチやよくある疑問についても触れるので、より効果的な投資判断を行えるようになっていきましょう。
- 心理的バイアスとは、特定の情報や状況に対して、偏った見方や感情的な反応を示す傾向
- 投資においては以下の5つのバイアスが特に影響する
- 損失回避バイアス
- 確証バイアス
- 過剰自信バイアス
- アンカリングバイアス
- 集団心理バイアス
- バイアスに対して理論武装はあまり意味がなく、以下のようなお作法を決めておくのが大事
- 投資判断決定のためのプロセスを決めておく
- 情報の優先順位を決めておく
- リスクを定量評価できるようにしておく
- 長期的な視野を確立しておく
心理的バイアスとは
投資において、合理的な判断と計画が不可欠である一方で、いざ投資をする場合には心理的なバイアスが影響を及ぼすことがあります。
心理的バイアスとは、特定の情報や状況に対して、偏った見方や感情的な反応を示す傾向を指します。
たとえば、「A型の人は几帳面で神経質と思ってしまう」とか「友達はみんなゲームを持ってるから僕も欲しいとねだる」とか「見た目がタイプの人だと性格も良くみえる」とかです。
紹介した事例は投資以外のバイアスですが、投資においてもこういっバイアスは存在し、投資家の意思決定に影響を与え、投資行動に歪みをもたらす可能性があります。
投資の事例で言えば、
- 損失を避けようとして明らかに低リスクなのに投資できない
- 事前に決めたルールだと損切すべきなのに塩漬けしてしまう
- 自分の描いたストーリーに合わない情報を無視する
とかです。
こういった心理的バイアスはポートフォリオの成長を阻害する可能性があり、投資家としては無視できない問題です。
僕も実を言うと、こういったバイアスをコントロールするのは苦手な方で、投資を始めてからずっと苦労してきました。
心理的バイアスは投資におけるリスクの一つであり、投資家が自己認識し、克服することが重要です。
次の章では、心理的バイアスの具体的な種類について詳しく見ていきます。
心理的バイアスの種類
投資における主な心理的バイアスの種類について解説していきます。
心理学上はもっと沢山の種類があるのですが、投資にフォーカスして解説しますので挙げているバイアスの種類は少なめです。
- 損失回避バイアス
- 損失回避バイアスは、投資家が損失を避けようとする心理傾向を指します。
これによって投資家はリスクを冒すことをためらい、保守的な投資方針を取る可能性があります。
損失回避のバイアスが強い投資家は、投資機会を見逃す可能性が高く、せっかく資産を増やすタイミングだったのに……ということも多いです。
- 損失回避バイアスは、投資家が損失を避けようとする心理傾向を指します。
- 確証バイアス
- 確証バイアスは、事前に立てた計画や投資ストーリーを裏付ける情報に重点を置き、他の情報を無視する傾向を指します。
客観的な分析を欠くことにつながるため、投資判断が歪められる可能性があります。
確証バイアスが強い投資家は、市場の変動や新たな情報を適切に評価できず、ポートフォリオのリスクが増大する恐れがあります。
- 確証バイアスは、事前に立てた計画や投資ストーリーを裏付ける情報に重点を置き、他の情報を無視する傾向を指します。
- 過剰自信バイアス
- 過剰自信バイアスは、自身の能力や情報を過大評価し、リスクを過小評価する傾向を指します。
このバイアスが強いと、無茶な投資をして過剰なリスクを抱える可能性があります。
個人的な感覚ですが、投資以外で上手くいってる人ほど陥りがちな気がします。
- 過剰自信バイアスは、自身の能力や情報を過大評価し、リスクを過小評価する傾向を指します。
- アンカリングバイアス
- アンカリングバイアスは、最初に得た情報や数字に過度に影響される傾向を指します。
過去の情報に引っ張られるので、市場の変動についていけない可能性が高いです。
- アンカリングバイアスは、最初に得た情報や数字に過度に影響される傾向を指します。
- 集団心理バイアス
- 集団心理バイアスは、市場の集団的な行動や感情に影響される傾向を指します。
市場の動向や他の投資家の行動が判断に影響を与えるため、持続性のない投資になりがちですし、結果的になんとなく負けてる印象です。
昔と違ってSNSで他の投資家の情報が集めやすくなったので、集団心理バイアスは陥ってる人が多いですね。イナゴ株とかはまさにそれというか……。
- 集団心理バイアスは、市場の集団的な行動や感情に影響される傾向を指します。
つらつらと書きましたが、思い当たるバイアスもあったかと思います。
投資していれば誰もがぶち当たるような内容なので、ご安心ください。次の章で対策も解説していきます。
心理的バイアスを克服するための具体的な戦略
まず最初に大事なことをいいますが、心理的バイアスを克服するのに、理論武装は何の意味もありません。
「いや、理論を明確にすればバイアスに流されずに投資出来るはず」と思われる方も多いですが、理論でどうこう出来るなら最初から計画通りに投資をやれてるので。
最初に立てた計画や理論に不安があって判断が揺らいだ、というなら話は別ですが、であるならば心理的バイアス以前に投資理論や理屈建てをやり直すべきです。
個人的な意見になりますが、心理的バイアスの対策において大事なのは「バイアスに気づける仕組みづくり」です。
では、具体的に何をするのか見ていきましょう。
心理的バイアスの4つの対策
具体的には以下の4つです。
- 投資判断決定のためのプロセスを決めておく
- 情報の優先順位を決めておく
- リスクを定量評価できるようにしておく
- 長期的な視野を確立しておく
要は投資のお作法や判断基準を決めておく、ということです。
「朝起きて夜寝る前に歯を磨く」「湯舟に浸かる前に体を洗う」「料理をする前に手を洗う」など、お決まりの作法を作っておけばよいのです。
投資判断決定のためのプロセスを決めておく
投資判断決定のためのプロセスを決めておく、というのは自分の中の投資に至る流れを決めておくことを指します。
僕の場合は、スクリーニングで「投資してもいいかもしれない銘柄」を決めた後は、
- SNSで反応チェック
- 会社のサイトを見てみる
- 財務諸表・IRをチェック
- ノートに書きだして観点毎に○△×を付ける
- 8割以上が○の銘柄について配当や優待、株価の割安さを確認
- 決算毎に③と④と⑤を再実施(余裕あれば①②も)
といった具合の流れを決めてます。
SNSの確認を一番最初にしているのは、最後に実施すると自分の判断が揺らぎそうになるからです。集団心理バイアスを防ぐ工夫ですね。
決して自信がないわけではないですが、やはりネガティブな意見というのは気になってしまうので(僕の投資家としての弱さです)
ポイントは淡々と決めた手順をこなすこと。そうすればバイアスの入る余地はないので。
情報の優先順位を決めておく
情報の優先順位を決めておくというのも重要です。
というのも、投資判断のプロセスを決めていたとしても、「Aという観点では投資すべきだけど、Bではちょっとなぁ……」というのは頻繁にあります。
そうでなくてもSNSを見てインフルエンサーが「この銘柄は買いだ!」とか言ってた日には、プロセスをすっ飛ばして焦って売買ということにもなりかねません。
何の情報を優先とするかは決めておきましょう。
僕の場合は以下の優先度です(①が優先度高)。
- 財務上の数字(PERなども含む)
- IRなどのファンダメンタル情報
- 優待や配当利回り基準
- チャート
- SNS情報
基本的に2~5がどれだけ良くても1がダメなら投資はしません。(要は優先度低の情報が良くても、優先度高には勝てないということです)
リスクを定量評価できるようにしておく
リスクを定量評価できるようにしておくのもバイアスの回避には重要です。
リスクを定量判断できていれば無茶な投資は防げますから、とりわけ過剰自信バイアスの対策になります。
リスク判断にはいろいろな方法がありますが、僕がやっているのは以下の通りです。
- PFのリスク資産コントロール:常に現金を総資産に対して10~30%程度確保するようにしています。無リスク資産でしたらなんでもいいのですが、現金が扱いやすいので僕は現金でバランス取ってます。
- リスク管理ツールの使用:上記の資産配分が分かるようにマネーフォーワードMEを使ってます。有料版を使ってますが、無料版でもそれなりに使えるかと。
ちなみに投資対象の銘柄ごとにはリスク判断はしていません。
そこまでするのは面倒くさい、すなわち続かないですし、そもそもリスクの高い銘柄は買わないので!
長期的な視野を確立しておく
長期的な視野を持つことは、一時的な市場の変動やトレンド、意見に左右されず、投資計画を実現するのに重要です。
理論武装はバイアスの対策として意味はないとは言いましたが、無理解で良いという訳ではありません。
長期投資の優位性を分かった上で投資をすべきですし、知っていれば銘柄選定や計画建てに役立つのは事実です。
投資における心理バイアスに対するよくある疑問
ここからはQA形式でよくある質問や疑問への回答を書いていきます。
コメントいただければ追記していきますので、良かったらページ下部のコメント欄や問い合わせページ、SNSから質問いただければと思います。
疑問①|心理的バイアスを制すれば投資は勝てる?
- 心理的バイアスを制すれば投資は勝てると聞きました。本当でしょうか?
-
個人的にはそんなことないと思います。ただ、致命傷を食らわない戦いはできるようになるかと。
バイアスを制すれば投資は勝てる、という言説はインフルエンサーっぽい人がよく使ってますね。
心理バイアスが影響しないとは言いませんが、バイアスを制しただけで勝てるようにはならないでしょう。
結局、株価を左右するのは企業の価値です。あなたがどれだけバイアスを制しようとも、価値の下がる企業を買えば株としては負けです。
どちらかと言えば、心理的バイアスを制してできるのは、「致命傷を食らわない戦いができる」ということです。
安易な気持ちでハイリスクな銘柄を買ったり、損切をできずにずるずると持ち越す、とかを防げますから、株式市場から一発退場なんてことにはならなくなると思います。
疑問②|焦りやすい人は投資しない方がいい?
- 投資に限らず焦りやすいのですが投資をやらない方がいいですか?
-
僕も焦りやすい性格ですが案外何とかなります。性格を理由に投資をやらない・やめる必要はないかと思います。
性格ごとに投資に向く・向かないはあるかもしれません。
僕自身焦りやすい性格ですし、保有銘柄がストップ安なんかになったらきっとソワソワすると思います。
ですが、「投資をしなきゃよかった」と思ったことは一度もないです。
焦りやすくとも、
- ノートに投資判断を書いておく
- 1日置いてから判断するルールにする
など、工夫をすればどうとでもなります。
大事なのは自分で考えて投資を続けるということだと僕は思います。
投資家心理に関するおすすめ書籍
僕も勉強中ですが、いくつか紹介しておきます。(バイアスだけに限った本はないので、どちらかと言えば投資家心理ですが参考にはなると思います)
まとめ|投資における心理的バイアスの影響と克服
今回はリバランスについて具体的なやり方や頻度、必要性について解説しました。
以下は記事のまとめです。
- 心理的バイアスとは、特定の情報や状況に対して、偏った見方や感情的な反応を示す傾向
- 投資においては以下の5つのバイアスが特に影響する
- 損失回避バイアス
- 確証バイアス
- 過剰自信バイアス
- アンカリングバイアス
- 集団心理バイアス
- バイアスに対して理論武装はあまり意味がなく、以下のようなお作法を決めておくのが大事
- 投資判断決定のためのプロセスを決めておく
- 情報の優先順位を決めておく
- リスクを定量評価できるようにしておく
- 長期的な視野を確立しておく
心理的バイアスは投資判断に影響を及ぼすので、投資家としてはある程度の制御は必要です。
パフォーマンスが改善されるようなものでは無いですが、致命傷を食らわない戦い方をできるようになるには必要ですので投資の初期段階からある程度はコントロールできるようになりましょう。
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