この記事では状況のような疑問を解決します。
S&P500やNASDAQ、TOPIXのような指数は時価総額加重平均によって銘柄の組み入れ比率を決めています。
時価総額加重平均は、時価総額に従って構成銘柄の比率を決めていく方法であるため、大型株の比率が多くなります。
そのため、マイナス局面での下落幅が大きくなってしまうという欠点があり、その欠点を対策する方法として均等加重平均が出てきました。
時価総額加重平均と異なり、均等加重平均では構成銘柄を一定比率で組み入れます。
ただ、均等加重平均もデメリットがあり、時価総額加重平均と比べてどちらが良いかは悩ましいところです。
そこで本記事では、S&P500に連動するETFを使って、時価総額加重平均と均等加重平均のどちらが長期投資で優れているのか検証していきます。
時価総額加重平均と均等加重平均の違い
時価総額加重平均と均等加重平均の違いについて解説していきます。
時価総額加重平均とは?
時価総額加重平均は、時価総額で重みづけをして組み入れ銘柄の構成比率を決める方式です。マーケットウェイトと呼ぶこともあります。
要は、時価総額の大きい企業ほど割合を多く組み入れると考えてください。
以下のようなイメージです。
代表的な時価総額加重平均型の指数には以下のようなものがあります。
時価総額加重平均のメリット・デメリット
時価総額加重平均には以下のようなメリットがあります。
一方で以下のようなデメリットもあります。
ここで少し補足です。
4つ目のデメリットしてあげている「過大評価されている銘柄」を組み入れることについてですが、人によっては、「株価が需給によって成り立つ以上それも適正価格だ」という意見もあります。
僕自身も上記意見には概ね賛成で、適正価格だと判断しています。ですので、あえて括弧付で書かせてもらっています。
均等加重平均とは?
均等加重平均は、構成銘柄の組み入れ比率を等分する方式です。イコールウェイトと呼ぶこともあります。
時価総額加重平均と違って、企業の時価総額にこだわらずにどの銘柄も同じ金額分だけ買い付けることになります。
以下のようなイメージをすると分かりやすいです。
代表的な均等加重平均型の指数には以下のようなものがあります。
均等加重平均のメリット・デメリット
均等加重平均には以下のようなメリットがあります。
一方で以下のようなデメリットもあります。
時価総額加重平均と均等加重平均、どちらが良いのか?
難しい問題ではありますが、僕自身は時価増額加重平均をおすすめしています。
というのも、「市場平均をトレースできる」という点を重要視しているためです。
市場平均は市場に参加する投資家達によって形作られますが、市場に流れている大部分のお金の出所は機関投資家からのものです。
よって、市場平均を取れるというのは、プロの投資家である機関投資家を含めた平均を取ることに等しいです。
その点、時価総額加重平均の指数を買っておけば、個人投資家としては及第点以上が取れているはずで、そのメリットはかなり大きいです。
均等加重平均の致命的な欠点
均等加重平均の致命的なデメリットである「流動性の低い小型株も大きく買うため、相場に影響を与えてしまう」点についても見過ごすことはできません。
均等加重平均では、時価総額の小さい小型株にも一律で多くの資金が投資されるため、株価の吊り上げ(売買スプレッド)が発生してしまいます。
たとえば、時価総額が5000億ドルとかの企業に1億ドル投資したところで大した影響はありませんが、時価総額が10億ドル程度しかない企業に1億ドル入れると株価が急騰しますよね。
結果として、株価が跳ね上がった割高な値段で買い付けるしかなくなります。
これは投資信託・ETFの運用額が大きくなればなるほど顕著になるデメリットです。
成績の好調なファンドは長期的に運用すればするほど資金が大きくなりますが、その好成績によってもたらされる資金増加が自身の首を絞めていくというジレンマを抱えているのです。
S&P500を時価総額加重平均と均等加重平均で比較する
S&P500について、時価総額加重平均と均等加重平均を比較してみましょう。それぞれ以下のETFを用いて比較します。
銘柄 | VOO | RSP |
---|---|---|
運用会社 | Vanguard | Invesco |
ベンチマーク | S&P500指数 | S&P500指数 |
経費率 | 0.03% | 0.20% |
純資産額(2022年4月時点) | 2808.80億ドル | 341.93億ドル |
保有銘柄数 | 511銘柄 | 504銘柄 |
設立日 | 2010年9月7日 | 2003年4月30日 |
過去5年間のチャート比較【VOO vs RSP】
以下のチャートはVOOとRSPの過去5年間の価格推移です。VOOが青線、RSPが黄線です。
直近のリターンはVOOが+88.56%、RSPが+73.68%とVOOが上回っているのが分かるかと思います。しかし、これは時期によります。
基本的に大型株よりも中小株のほうが成長率が高いので、理屈だけ考えると中小型株を多く組み入れるRSPが有利な気がしていまいますが、ここ数年はGAFAMのような大型グロース株が強いという背景が効いていますね。
理由はほかにも色々考えられますが、直近は時価総額加重平均型であるVOOがパフォーマンスが上回っていることは事実として捉えておきましょう。
コロナショック直後の立ち上がり【VOO vs RSP】
また、僕たち投資家は暴落時の立ち回りはしっかりと考えておかないければなりません。
以下はコロナショック直後のVOOとRSPのチャートです。
チャートの通り、VOOは6か月で、RSPは9か月ほどで元の価格に戻っています。
RSPの戻りが悪いのは、中小型株の組み入れが多いことによる影響です。景気が落ち込むときは大型株の方が一般に有利です。
今となってみれば3か月の差でしかありませんが、9か月もの間マイナス局面が続くのは精神的につらいものがあります。
RSPに限らず均等加重平均型の投資信託やETFは、中小型株や新興国株、不動産のような景気減退期に値上がりしづらい銘柄やセクターを組み入れるので注意しておきましょう。
まとめ|時価総額加重平均と均等加重平均についてS&P500の長期リターンから考える
今回は時価総額加重平均と均等加重平均について、それぞれの特徴を解説し、S&P500指数に連動するETFを比較してきました。
以下に記事の内容をまとめました。
VOOとRSPはどちらも同じS&P500の銘柄を組み入れてますが、組み入れ比率が異なるためパフォーマンスには差があります。
これから先も同じとは限りませんが、VOOの方が直近5年はパフォーマンスが上であるようです。
メリット、デメリットを理解した上で、どちらを選択するかはしっかり考えてみましょう。
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