- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と楽天VTI、どっちがいいの?
- 買う投資信託を切り換えたいんだけど、デメリットとかある?
このような疑問にお答えいたします。
投資信託を買い始めたり、つみたてNISAを始めたりすると、楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の2つで迷うという方は多いのではないでしょうか?
実際、人気ランキングを楽天VTIが3位でeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が1位と接戦しているのがよく分かります。
そこで今回は、楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の違いとどちらがおすすめかについて比較検証していきます。
- 楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の違いはベンチマークと信託報酬
- ベンチマークは異なるものの値動きはほぼ同じ
- 信託報酬はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が若干有利
- 個人的にはeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がおすすめだが、購入のしやすさや今の積み立て状況も鑑みて選ぶと良い
楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の特徴
まずは楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)について、それぞれの特徴を見ていきましょう。
以下に表形式でまとめてみました。
楽天VTI | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | |
---|---|---|
ファンドタイプ | インデックス型 | インデックス型 |
投資先 | 米国 | 米国 |
ベンチマーク | VTI(米国ETF) | S&P500(指数) |
信託報酬 | 0.162% | 0.0968% |
つみたてNISAの人気度 | 3位 | 1位 |
見ての通り、違いはベンチマークと信託報酬になります。
つまり、この2つを分析すれば、楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の違いは把握できるということ。
では、それぞれについて、詳細を見てみましょう。
ベンチマークの違い(VTI(米国ETF)とS&P500(指数))
まず楽天VTIが連動しているVTIというのは、米国株式全体(約4000社)に投資するETFのことを指します。
ETFとは簡単に言えば、株式のセット販売パッケージみたいなもので、投資信託の一種です。
ただし、一般にイメージされる投資信託とは異なり、株のようにリアルタイムに売買することができるといった特徴があります。
一方、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が連動しているのは、S&P500と呼ばれる米国の代表500銘柄に連動した指数になります。
この指数とは複数の企業の株価をまとめた指標になります。つまり、単なる数字です。
ですので、基本的にS&P500に投資しようとすれば、それに連動した投資信託やETF(VOO)を買う必要があるわけです。
ETFと指数の違いが分かったところで、次はチャートを見ていきましょう。
VTI(米国ETF)とS&P500(指数)のチャート
以下にそれぞれの過去5年分のチャートを用意しました。赤線がVTI、青線がS&P500になります。
見ての通り、チャートの形状にはほとんど違いはありません。
ただ、上でも書いたように、VTIは米国株式全体の約4000社に連動しているのに対して、S&P500は米国の代表500銘柄に連動しています。
では、連動している対象が違うにもかかわらず、なぜチャートはほとんど同じ動きをするのでしょうか?
答えとしては、それぞれのチャートは時価総額加重平均という計算方式で算出されており、大企業の影響が大きいためです。
時価総額が大きい銘柄ほど多く組み入れて、小さいほど少ししか組み入れない計算方式のこと。時価総額加重平均の指数としては、TOPIXやS&P500が有名。
つまり、VTIは米国株式全体に投資しているとは言いつつも、時価総額の大きい銘柄(=米国の代表銘柄)にポートフォリオが圧迫されているわけです。
事実として、組み入れ割合が上位の銘柄は全く同じで、組み入れ額で考えると全体の約84%がVTIとS&P500で一致しています。
参考までにVTIとS&P500の上位10組み入れ銘柄とその割合をまとめておきました。
結論としては、楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)ではベンチマークによる違いはほとんどないというわけです。
注意:分散投資について
少し蛇足ですが、分散投資についても触れておきます。
ときどき、
楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の両方を買って分散投資をしてみよう!
という方がおられますが、ベンチマークがほぼ同じである以上、分散にはなっていないのでお気をつけください。
分散投資をするには、投資先の国や資産をずらして、何かがあったときに連動した動きをしないような金融商品を複数持つ必要があります。(例:不動産と株式や金など)
初心者の方にありがちですが、「複数の金融商品を持つこと=分散投資」にはならないことは留意しておきましょう。
分散投資については以下の記事で簡単にまとめているので、良かったら合わせて読んでみてください。
信託報酬の違い(楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500))
続いて、信託報酬について見ていきましょう。上でもまとめましたが、信託報酬には以下のような違いがあります。
楽天VTI | eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) | |
---|---|---|
信託報酬 | 0.162% | 0.0968% |
手数料(信託報酬)の差としては0.0652%ですね。
一見大した差ではなさそうですが、仮に年間40万円の積み立てを行い、年利5%で20年間運用したとすると、約10万円の差になります。
20年間でたった10万円しか差が出ないと捉えるかはあなた次第ではありますが、少しでも多く貰いたいなら信託報酬は少ない方を選んだ方が無難そうです。
しかも、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)は業界最低水準の運用コストを目指すことを宣言しており、さらに信託報酬が下がっていくことが期待されています。
実際、過去に信託報酬は引き下がっており、その引き下げもあって楽天VTIより人気になった経緯があるというのはちょっと有名な話だったりします。
楽天VTIからeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)への乗り換え
ここまでで、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の方が良さそうなのは分かったかと思います。
では、すでに楽天VTIを積み立てている場合はどうすれば良いのでしょうか?
結論から言うと、すでに買っている楽天VTIが「つみたてNISA枠」か「通常の枠」かで変わってくるので、それぞれで対応を選択してください。
- つみたてNISA枠の場合 ⇒ すでに買っている楽天VTIは保有し続け、次の積み立てからeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を買い付ける
- 通常の枠の場合 ⇒ すでに買った楽天VTIは保有し続けても良いし、売却してeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を買い付けてもOK
つみたてNISAで投資信託を変更する際の注意点
つみたてNISAで買い付ける投資信託を変更するのには少し注意点があります。
というのも、つみたてNISAで投資信託を売却しても、つみたてNISAの40万円/年の非課税枠は戻ってこないためです。
ですので、非課税枠をしっかり活用するためにも、保有している楽天VTIはそのまま持ち続けて、新規購入分からeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を買うようにしましょう。
通常枠で投資信託を変更する際の注意点
通常枠であれば特筆すべき注意点はありません。
楽天VTIを売却してeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を買い増すのも良し、楽天VTIは保有し続けて新規購入分をeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)とするのも良しです。
ちなみに僕なら、楽天VTIは保有し続けて、次回以降分からeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を購入します。
まとめ:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と楽天VTI、どっちがおすすめ?
今回は楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)に関して、それぞれの特徴とどちらがおすすめかについて見ていきました。
以下は記事のまとめです。
- 楽天VTIとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の違いはベンチマークと信託報酬
- ベンチマークは異なるものの値動きはほぼ同じ
- 信託報酬はeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)が若干有利
- 個人的にはeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がおすすめだが、購入のしやすさや今の積み立て状況も鑑みて選ぶと良い
結論としては、eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)のほうが信託報酬の分、優れているといった印象です。
ですので、個人的にはeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)がおすすめですし、実際に僕自身もeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)を積み立てています。
とは言え、ベンチマーク自体には大きな差は無いので、ご自身の状況を鑑みながら今後の購入方針を考えてもらえればと思います。
今回は以上です。
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