この記事では、投資信託の値段(基準価額)について解説します。
最近では、つみたてNISAで投資信託が推奨されることもあって、投資信託始めますという方も多くなってきました。
しかし、なんとなく難しそうだからと言って、あまり仕組みを理解せずに投資しているということはないですか? 値段がどうやって決まるか言えますか??
実のところ、投資信託の仕組みはシンプルなので、値段の決まり方も難しくもありません。ここでしっかり理解しておきましょう。
この記事では、投資信託の値段である基準価額について、変動要因などを解説していきます。
基準価額への理解を深めることは、投資信託のファンド選びを自分で出来るようになるための第一歩です。
- 基準価額とは?
- 基準価額が変動する仕組み
- 基準価額の変動要因
- 基準価額の変動要因の調べ方
投資信託の値段(基準価額)は純資産総額と口数で決まる
投資信託の数(持ち分)は、一般に「○○口数」と数えます。
そして、すべての投資家が持つ口数の合計を、総口数といいます。
また、投資家から集めたお金の合計や運用利益から手数料などを差し引いた金額を、純資産総額と言います。
投資信託の値段のことを基準価額と言い、総口数と純資産総額から以下のように算出されています。
基準価額 = 純資産総額 ÷ 総口数
簡単に言えば、セット売りされているアメがあったとして、20個で100円であれば1個当たり5円みたいな話です。
全体の金額(純資産総額)を個数(総口数)で割ってるだけですね。

基準価額が変動する仕組み
基準価額が変動する仕組みを学ぶ前にまず、価額という概念について理解しておきましょう。
価額とは?
もしかしたら誤記だと思われていた方もいるかもしれませんが、投資信託の値段のことは価格ではなく価額と表現されます。
価額とはそれそのものの価値を表します。英語でいうところのValue(バリュー)に当たります。
一方、価格は需要と供給との間に成り立つ金額で、英語ではPrice(プライス)と表されます。
同じ意味に聞こえたかもしれませんが、微妙に異なります。
例えば、10万円の価値があるスマートフォンがあったすれば、それそのものの価値である価額は10万円です。
しかし、そのスマートフォンが品薄だと、需要と供給のバランスから市場価格は15万円とかに高騰したりします。
このとき、価額と価格は必ずしも一致しないですよね?
つまり、「価格=需要と供給のバランス」、「価額=そのものの価値」と言うわけです。
では、この価額の概念を理解したところで、投資信託の仕組みを見ていきましょう。
基準価額が変動する仕組み
上でも説明しましたが、基準価額は純資産総額と総口数から決まります。
つまり、需要と供給のバランスから決まる価格ではないのです。
いくら需要があっても、純資産総額が減れば、その分だけ基準価額は減少します。
例えばですが、投資家から集めたお金で運用した結果、運用に成功すれば純資産総額が増えるので、基準価額も増加します。
逆に運用に失敗すれば、純資産総額が減り、基準価額は下がることになるわけです。

純資産総額が変動すれば、基準価額が変わるのなら、沢山の人がファンドを買付たり解約したりすると、基準価額も動くんじゃないか?

うーん、それはよくある勘違いだね。
よくある勘違いなのですが、投資家が投資信託の買付や解約をしても基準価額は変わりません。
というのも、純資産総額の変動とともに、総口数も増減しているからです。
例えば、20個で100円のアメ袋に、1個5円のアメを追加しても、アメ1個当たりの単価は変わらないですよね?
個数(総口数)とアメ袋の価格(純資産総額)がどちらも増えているので、当然と言えば当然ですね。
基準価額が変動する要因
つぎに、基準価額の変動要因について解説していきます。
運用がうまくいっていても、基準価額は下がることもあるので、しっかり理解しておきましょう。
なお、基準価額に影響を与える要因をすべて列挙するとキリがないので、最低限知っておくべき3種類に絞って解説します。
投資信託を構成する株や債券の価格が変動したとき(運用成果の変動)
基準価額の変動に一番影響を与えるのが、投資信託を構成する株や債券の価格が変動したときです。
運用が上手くいけば純資産総額が増加するので、基準価額も同じように押し上げられます。
逆に、運用が失敗して損失が出れば純資産総額も減少し、結果として基準価額も下がります。

でも、ファンドマネージャーが運用する以上、運用成果なんて俺たち投資家はコントロールできないし、どうすればいいんだ?

ポイントは、どれぐらいの価格変動リスクのある商品を扱っているのかを把握しておくことだよ。
例えば、株を対象に運用している投資信託なら日経平均株価などの影響を受けやすいでしょうし、債権であれば株価が動いても大した要因にはならないです。
他には不動産を対象にした投資信託なら、地価の変動要因(地震とか)の影響に注意する必要があります。
簡単に以下にまとめたので覚えておきましょう。
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ちなみに投資信託が何に投資しているかによって、どの変動リスクが強く影響するかは変わってくるので、自分が保有する投資信託が何に投資していて、どういうときに基準価額が変動するかは把握しておきましょう。
投資信託が何を組み合わせたものかは、ファンドの目論見書に投資先や運用方針として書いてあるので、ぜひチェックしてみてください。

調べ方は、実際の目論見書を例にして後で詳しく解説するよ!
分配金を支払ったとき
分配金の支払いも基準価額の変動要因の1つです。
上でも簡単に触れましたが、純資産総額が減少するからですね。
分配金は、利息と違って、運用資産の中から支払われます。
そのため、純資産総額が減少します。どちらかと言えば、払い戻しに近いものと覚えておきましょう。
以下はマネックス証券で「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」ですが、2019年12月2日に分配日があり、そこでガクっと基準価額が下がっていることが分かるかと思います。

仕組みを知っていないと、分配金の受け取り後に下がっているのを見て焦ることになるのでしっかり理解しておきましょう。
運用費用を支払ったとき
分配金と同様に、運用費用の支払いも基準価額を下げる要因になります。
運用費用というのは信託報酬などのことで、投資信託の運用会社にお金を払うのですが、このお金は運用資金からまかなわれます。
運用費用が高い投資信託だと馬鹿にならないので注意しておきましょう。

運用費用はどれぐらいだと安いんだ?

個人的には、インデックス型なら信託報酬0.6%前後が目安かな。
1%とか超えてくるとちょっと高いなぁと思うね。
基準価額の変動要因の確認方法
保有している投資信託の基準価額がどのような要因でどれくらい変動したのかは、運用会社が発行している月次レポートを見ればわかります。
では、具体的に月次レポートを見に行きましょう。下にマネックス証券のリンクを張っておきます。
ご自身が運用されている証券会社のサイトから見ていただいてもOKです。
上記リンクを見てもらうと、ファンドがズラッと並んでいて、各ファンドの左下ぐらいに月次レポートのPDFリンクが張ってます。

月次レポートを開いてもらうと、ファンドによって書式は異なりますが、以下のような報告書を見ることができます。
この「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」だと、下の画像の真ん中ぐらいに基準価額変動の内訳が記載されていますね。

すべてのファンドで内訳報告までしているわけではないのですが、自分の保有している投資信託がどのような変動をしているのかは簡単に把握しておくと、何かあったときに慌てずに済みます。

一見して運用は上手くいってるように見えても、信託報酬を差し引くとマイナスというパターンもあるので要注意だよ。
まとめ:投資信託の値段(基準価額)はどうやって決まるか?変動要因を理解しよう
今回は、投資信託の値段である基準価額の変動要因について解説してきました。
ポイントは以下の2点です。
- 基準価額 = 純資産総額 ÷ 総口数
- 基準価額の変動要因は、主に運用損益、分配金、運用費用
最低限これだけ知っておけば、投資信託の値段変動に対する理解としては十分でしょう。
まずは、保有しているファンドについて、どのような基準価額変動をしているのかを確認してみてくださいね。
今回は以上です。お疲れさまでした。
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