リバランスの具体的なやり方とタイミングをパターン別に解説

  • リバランスすべきって聞いたけど、どうやってやればいい?
  • リバランスはどのタイミングでやるべき?
  • そもそもリバランス必要?

この記事では上記のような疑問にお答えします。

資産運用を続けると、資産の値動きに伴ってアセットアロケーション(資産配分)が崩れることがあります。

そのときに実施するのがリバランスです。

リバランスには大きく分けて3種類のやり方があり、それぞれにメリットデメリットが存在します。

この記事では、各リバランス手法について解説しつつ、リバランスの必要性について考察していきます。

また、記事の最後にリバランスに関するよくあるQAもまとめているので、よかったら参考にしてください。

記事のまとめ
  • リバランスの2つの方向性
    • 「元の資産配分に戻す」or「相場に合わせた資産配分にする」
  • 具体的なリバランス方法は以下の3パターン
    • 割合が減った資産を買い足す
    • 割合が増えた資産を売却する
    • 割合が増えた資産を売却し、得られた資金で割合が減った資産を買い足す
  • リバランスの目的はリスクの最適化にあるため全ての投資家に必要
目次

リバランスの2つの方向性

リバランスとは、相場変動によって崩れたポートフォリオを整え、適切な資産配分に振りなおす作業のことです。

リバランスの方法には大きく分けて2つあります。

  1. 元々の資産配分に戻す
  2. 相場に合わせた資産配分にする

投資家の多くは①の元々の資産配分に戻す方法を取っている印象です。

では、もう少し具体的に考えてみましょう。

仮に100万円の資金を4つの資産に25%ずつ割り振ったポートフォリオを組んでいたとします。

このとき、時間経過に伴って、資産配分が崩れることがあります。

リバランスのイメージ
リバランスのイメージ

リバランスでは、崩れたポートフォリオを適切な配分に戻します。上記の図であれば、元の配分に戻すことを行っています。

もちろん、当初の資産配分があなたにとって不適切な配分であったのなら、元の配分に戻すのではなく、状況に合わせた配分に仕立て直す必要があります。

「相場に合わせた資産配分にする」やり方は個人投資家には不要

紹介しておいてにはなりますが、「相場に合わせた資産配分にする」というリバランスの手法は個人投資家には不要です。

適切な資産配分というのは、投資家本人のリスク許容度から決定されるべきで、相場に合わせる必要がないからです。

ですので、リスク許容度が変わらない限りは「元々の資産配分に戻す」リバランスのやり方で問題ありません。

リスク許容度に応じた資産配分の決定方法は、下記の記事で解説しているのでよかったら参考にしてみてください。

リバランスの具体的なやり方

ここからは具体的なリバランスのやり方を説明していきます。

やり方としては3パターンあります。

  1. 割合が減った資産を買い足す
  2. 割合が増えた資産を売却する
  3. 割合が増えた資産を売却し、得られた資金で割合が減った資産を買い足す

では、具体的に解説します。

割合が減った資産を買い足す

割合が増えた資産を買い足すのは、主流のやり方です。ノーセルリバランスとも呼ばれます。

僕もこのやり方をすることがほとんどです。

以下のようなイメージです。

割合が減った資産を買い足す
割合が減った資産を買い足す

基本は、一番割合の多い資産を基準に買い足します。上図であれば、Aが40%で最も多いので、Aが25%になるように他の資産を買い足して調整します。

売却をしない、つまり利確をしないので税金がかからず、投資効率を最大化できるのがメリットです。

ただ、資産を買い足すためのお金が必要なので、キャッシュポジションをしっかり確保している投資家でないと実施は難しいです。

割合が増えた資産を売却する

割合が増えた資産を売却するのも、リバランスとしては有用なやり方です。

以下のようなイメージです。

割合が増えた資産を売却する
割合が増えた資産を売却する

基本は割合の少ない資産を基準に、他の資産を売却します。上図であれば、Dが10%で最も多いので、リバランス後にDが25%になるように他の資産を売却して調整します。

売却はいつでもできるのでお手軽ではあるのですが、総資産に対する投資金額が減ってしまうデメリットがあります。

売却益に対しては税金もかかるので、投資効率は落ちてしまうでしょう。

基本的には出口戦略のタイミングや一時的にキャッシュを確保しなければならないタイミングでやる方法と考えてよいでしょう。

割合が増えた資産を売却し、得られた資金で割合が減った資産を買い足す

割合が増えた資産を売却し、得られた資金で割合が減った資産を買い足すのも、実施している投資家が多いやり方です。

以下のようなイメージです。

割合が増えた資産を売却し、得られた資金で割合が減った資産を買い足す
割合が増えた資産を売却し、得られた資金で割合が減った資産を買い足す

目標のパーセンテージになるように、資産の売却、買い足しを行います。このとき、買い足しは売却で得られた資金によって実施します。

売却資金で買い足しを実施するので、キャッシュポジションを多く確保していなくても実施できるのがメリットです。

ただし、売却益に対しては税金を取られてしまうので、投資効率は少し下がってしまいます。

また、資産によっては、売買手数料が多くかかることもあるでしょう。

リバランスのタイミング

手法の次は、リバランスのタイミングですが、主に以下の2パターンです。

  1. 定期的に実施
  2. 一定の割合までずれたら実施

ここは好みではありますが、僕は「定期的に実施」することをおすすめしています。

というのも、リバランス自体は正しい行為ではあるものの、「高くなった資産を売って、安くなった資産を買い足す」というのは投資家心理としてハードルが高いです。理屈ではないのです。

ただ、「一定の割合までずれたら実施」というやり方だと、市場が荒れているときは何度も実施することになります。精神的ハードルが高い行為を何度もです。

であるなら、定期的に実施して習慣づけてしまう方が、気持ち的に楽でしょうし、継続もしやすいと思っています。

じゃあ、定期的にリバランスを実施するとして、どれぐらいの頻度で実施すればよいのでしょうか?

一般的には、年に1~4回といったところでしょう。

僕の場合は、ボーナスが出たタイミングに行っているので年2回になります。ボーナスで増えたキャッシュを一括投資するついでにリバランスしている形ですね。

もちろん年1回が良いという場合はそれでも十分です。

高頻度で実施する場合は1つだけ注意

ただ、高頻度で実施する場合は1つだけ注意です。

高頻度で実施する場合は、「割合が増えた資産を売却し、得られた資金で割合が減った資産を買い足す」リバランス方法はやめておいた方が良いです。

上でも書きましたが、売買手数料が多くかかってしまう懸念があるためです。

回数を増やせば適切なアセットアロケーションを維持できる期間が長くなりますが、コストがかかることは注意しましょう。

リバランスに関するよくある疑問

ここからはQA形式でよくある質問や疑問への回答を書いていきます。

コメントいただければ追記していきますので、良かったらページ下部のコメント欄や問い合わせページ、SNSから質問いただければと思います。

疑問①|そもそもリバランスは必要なのか?

そもそもリバランスは必要なのか?私はVTIしか持ってないので、不要だと思っているのですが。

リバランスは必要です。資産運用している人なら全員実施すべきです。

リバランスは資産運用をしている人全員に必要な行為です。

リバランスとは言わば、運用の過程で崩れた資産配分を「自身のリスク許容度に合わせた資産配分に戻す」行為です。

仮にVTIしか持ってないとしても、キャッシュポジションとVTIとのバランスでリスク管理をしているはずです。

VTIの保有量があなたの許容できるリスク以上に増えてしまった場合はキャッシュポジションを増やすようなリバランスをすべきですし、逆もしかりです。

リバランスという言葉が独り歩きしていますが、現金と金融資産の割合を調整することも立派なリバランスなのです。

疑問②|リバランスした方がは投資効率は良いの?

リバランスした方がは投資効率は良いの?

ケースバイケースです。結果論としてパフォーマンスが良くなるケースはありますが、必ずしもリバランスがパフォーマンス改善できるとは限りません。

リバランスはリスクの最適化のために実施するものなので、投資効率を議論しても仕方がないのですが、投資家としてはやはり気になるところですよね。

結論だけ言うと、

  • 単調な上昇相場、下落相場:リバランスをすることでパフォーマンスが落ちる
  • もみ合い相場、レンジ相場:リバランスすることでパフォーマンスが上がる

ことになるはずです。

というのも、リバランスで実施しているのは実質的に「利益確定」と「押し目買い」になります。(=上がった資産を利確して、下がった資産をナンピンしている)

単調な上昇相場であれば、利確なんかせずにバイ&ホールドするのが一番儲かりますし、下落相場であれば、下落した資産を買い増すことは更に損失を膨らませることになります。

一方、もみ合いやレンジ相場であれば、もみ合いの山で利確+押し目買いすることで安く買って高く売るという投資の理想を実現できるので、パフォーマンスが改善するわけです。

よって、結論としてケースバイケースということになります。

ただ、リバランスの目的は本来「リスクの最適化」にあるはずですから、投資効率の改善は副次的作用ぐらいに捉えた方がよいと個人的には思います。

以前に上記の話をしたところ、「相場に合わせてリバランス有無を決定すればいい」と言われましたが、そんなことできるわけがありません。リバランスでパフォーマンス改善できるかは結果論です。

もし相場を予想してリバランスできるなら、最初から相場に合わせた資産にフルインベストすればいい話です。リバランスなんて必要ありません。

まとめ|リバランスの具体的なやり方とタイミングをパターン別に解説

今回はリバランスについて具体的なやり方や頻度、必要性について解説しました。

以下は記事のまとめです。

記事のまとめ
  • リバランスの2つの方向性
    • 「元の資産配分に戻す」or「相場に合わせた資産配分にする」
  • 具体的なリバランス方法は以下の3パターン
    • 割合が減った資産を買い足す
    • 割合が増えた資産を売却する
    • 割合が増えた資産を売却し、得られた資金で割合が減った資産を買い足す
  • リバランスの目的はリスクの最適化にあるため全ての投資家に必要

リバランスは手間のかかる作業ではありますが、リスク管理の観点で必須の行為です。

僕もボーナスの入る月にリバランスを実施しており、リバランスをしているからこそ今の投資パフォーマンスを維持できている実感があります。

もしリバランスを実施できていないなぁと思う方がいらっしゃれば、ぜひお試しください。

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この記事を書いた人

化学系社会人博士。本業で車両制御ソフトの開発しながら、投資やブログを趣味として嗜んでます。コアとしてインデックス、サテライトとして個別グロース株、仮想通貨を入れるコアサテライト戦略を取ってます。FP2級持ってますが、あまり役に立たないことが分かりました。

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